診療
精神科リエゾンチーム
概要
リエゾンとは、連携・橋渡しを指すフランス語です。精神科リ エゾンチームとは「精神科以外の科・病棟に入院した患者さんの精神・心理・行動的問題の予防、早期発見、対応などを行う多職種チーム」です。
身体の病気で入院した患者さんも、精神・心理的に大きな負荷を体験することが少なくありません。
そこで、主治医チームの治療サポートを目標に、病棟スタッフと協力して患者・家族を支援します。
順天堂医院では、精神科リエゾン専門医の田宗がチーム責任者を担当し、認知症看護認定看護師の髙岡・公認心理師の平とともにチーム運営をしています。専攻医や臨床研修医とともに、臨床現場での実践を担っています。
脳深部刺激刺激装置(DBS)埋め込みや臓器移植等の高度医療・緩和医療についても、精神科リエゾン専門医の伊藤・垣内・田宗らが中心となって貢献しています。

精神科的ケアの向上・せん妄の予防と対応
2024年度は全病棟・入院ベッドを持つ全科からの依頼実績があり、6-7割は身体疾患と密接にリンクする精神症状、特にせん妄を含めた器質性精神障害です。
せん妄とは、脱水、感染、貧血、薬物療法など、からだに何らかの負担がかかったときや入院環境への反応で出てくる脳の機能の乱れです。急に意識がくもってぼんやりしたり、病院で治療を受けていることがわからなくなったり、不穏になったりします。認知症と似ていますが、症状は基本的には一時的でもとに戻ることが多いです。
せん妄の予防・適切な対応は、身体疾患の経過(予後)や入院期間の短縮にもつながることがわかっています。順天堂練馬病院では、精神科リエゾンチームの発足と時期を同じくして入院期間が短縮傾向を示し、臨床研究でも世界の最先端を走っています(→ 研究:八田教授・臼井先任准教授 )
順天堂医院でも、入院するほぼすべての方に以下のパンフレットをお渡しし、2024年度から「せん妄ハイリスク患者ケア加算」を算定して、病院一丸となってせん妄対策に取り組んでいます。

プライマリケアへの精神科医療の統合を目指した教育と研究
WHOは<精神科医療を必要な人に届けるためには、プライマリケアに精神科医療を統合することが最も実行可能で重要なプラン>としています。そこで、順天堂医院精神科リエゾンチームでは以下の3つを柱として臨床実践および教育・研究に取り組んでいます。
-
精神的ケアの文化づくり
アセスメントフローチャートを作成し、さまざまな病気をお持ちの入院患者さんの精神科的リスクを層別化しています。ハイリスクの患者さんにはメンタルクリニック(精神科リエゾンチーム)の受診をおすすめしています。この活動を通じ、すべての病棟で精神的ケアが行われる文化の醸成に努めています。
-
研修医・専攻医教育
日々のカンファレンス、毎週のリエゾンチーム回診、毎月の少人数講義で精神科的アセスメントのポイントを教育しています。チーム責任者の田宗は、2023年度に修了した臨床研修医が選ぶ<順天堂医院 ベストチューター賞>を受賞しました。
-
研究との橋渡し
精神科リエゾンチームは他科との協働も多く、同意をいただいた患者さんを対象に、さまざまな研究との橋渡しを積極的に行っています。詳細は、研究のページをご参照ください。(→ 研究:田宗准教授 )
