研究

馬場 元

研究の概要

うつ病をはじめとした気分障害では、その病因・病態や治療への反応性、長期的予後のいずれにも生物学的要因や心理・社会的要因など複数の要因の影響を受けるため、気分障害の臨床研究にはBio-Psycho-Socialな要因を包括したデータベースの解析が必要です。
Juntendo Mood Disorder Project(JUMP)は気分障害を対象とした包括的臨床研究プロジェクトです。1日平均外来患者数300人以上,年間入院患者数500人以上という順天堂越谷病院の臨床フィールドを生かし,バイオマーカーや臨床情報などの多彩なデータベースを蓄積し、それぞれのテーマに対して多角的に焦点を当てた臨床研究をおこなっています。2004年のスタート以来,600例を超える症例データの蓄積がなされており、縦断的な追跡調査も継続されています。
特に気分障害の認知機能に関する研究、気分障害と認知症との関連性に関する研究では数多くの成果を報告しており、この分野では国内屈指の臨床研究プロジェクトと言えます。

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研究内容

1. うつ病の認知機能に関する研究

気分障害のおける認知機能は近年注目されているトピックのひとつであり、その障害は臨床症状のひとつとして考えられるようになってきています。特にうつ病が寛解した後にも記憶機能や遂行機能、注意や処理速度などの神経認知機能の障害が残存し、これが就学や就労などの社会機能の回復を妨げ、主観的な回復を阻害する大きな要因となっていること、さらに再発・再燃の危険因子となることなどが指摘されています。気分障害における認知機能障害がどのように推移するか、そして寛解後に残存する認知機能には何が影響するのかを調査し、認知機能障害の残らない真の回復を目指した治療戦略を検討しています。

2. うつ病と認知症との関連性に関する研究

うつ病や双極性障害などの気分障害は認知症の危険因子であることが多くの疫学的調査で示されています。しかし気分障害が認知症へ移行する生物学的背景はいまだに明らかになっておらず、気分障害が認知症発症のリスクを増加させるのか、高齢者の気分障害が認知症の前駆状態なのかという議論にも結論がでていません。この気分障害と認知症との生物学的関連性を明らかにするために、気分障害患者さんにおける認知症関連のバイオマーカーについて、健常者との違いや臨床症状との関係、認知機能障害・認知症発症との関係性を横断的・縦断的に調査しています。

研究者紹介

順天堂大学医学部 精神医学講座(メンタルクリニック) 教授  馬場 元

教授

馬場 元(ばば はじめ)

[順天堂越谷病院:メンタルクリニック 副診療部長]

研究の詳細

https://researchmap.jp/hajimebaba/published_papers